ルパン6つの罪

 もともと名だたる犯罪者ルパンですから、6つといわず数え切れない罪を犯しているのですが、 ここでは「盗みはやっても人殺しはしない」というモットーを掲げているルパンが犯した殺人について語りたいと思います。
 ところで私にして見れば、「人殺しをしない」のは至極当然のことなのですが、 それをモットーにしているからといって大衆の支持を得るというのは、裏を返せばそれだけ当時のフランスで殺人事件が多かったのでしょうか。

『ルパン3の犯罪』

 『続813』の原題の直訳です。ここのコーナータイトルはお察しのとおりここから取りました。
  • ケッセルバッハ夫人 ルパンが愛した女性ですが、彼女のあまりに深い業を知った時、 ルパンは無我夢中で彼女を絞め殺してしまうのです。一応過失ということになっているし、 ショックを受けたルパンは最後には自殺まで図っているので、あまり問題として取り上げられていないようですが……
  • レオン・マシエ まあ彼の場合は一番間接的に死なせてしまった、という色が濃いです。 真犯人のレオン・マシエを誤認逮捕させてしまったルパンが真相に気づき、 慌てて彼を救おうとするがとき既に遅し。彼は前日のうちに死刑になっていた。 
  • ピエール・ルデュック ルパンに散々振りまわされ、憧れのケッセルバッハ夫人の死を知って自殺してしまいます。 この3つの中ではこれが一番ルパンに同情の余地なし、といいたくなります。こんなシーンもあります。 直接死因とは関係ないのですが、もっと前のシーンで、ケッセルバッハ夫人と親密そうにしているピエールを見て、 ルパンは「この男、今なら殺せる……!!」おいおい、ルパン……。
 

残り3つの犯罪

 
  • 虎の牙  平然としてベルベル人を殺すルパンに、「人殺しをしないというのは白人のことだけか。」とお怒りの声あり。 6つの犯罪の中で最も取り上げられることが多いです。まあね、戦争の時期とかぶったりすると、ルブランは確かに国粋主義的な顔が鼻につくことはあります。 ドイツに対してなんか敵意剥き出しの表現もありますし、好意的に書かれているベルベル人は、忠誠心は厚いが頭の巡りは悪い、といわんばかりの書かれよう。 ルパンって基本的に誰に対しても暴君ですしね。
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  • 地獄の罠  大金の入った財布を摺った相手がショックで自殺してしまう。金持ちからしか盗まないんじゃなかったのか、ルパン。 南洋一郎訳では確か、別の作品で秘密の鍵となる黒のモロッコ皮の財布そのものが欲しかったことになっていたんだけれども、完訳版ではどうだったかな。 ルパンの罪を救済するための改竄である可能性もありますが。この自殺した男が詐欺師だったというのが、罪の救済にされています。
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  • 水晶の栓  ギロチンにかけられそうになった2人の部下を救おうとしていたルパンが、いよいよ間に合わないという段になって、 より可愛がっている部下ジルベールを救うために死刑場でもう一人の部下ボーシュレーを射殺します。  その時のボーシュレーのセリフが、「これだ……すごい!有難う、親分、有難う……これで首を切られないですむ……親分…… ああ!やっぱり見上げた男一匹だ!……」(堀口大学訳、『水晶の栓―――ルパン傑作集Y』、新潮社、1960年、P.133〜134)です。 殺された本人がルパンに感謝することでやはり罪を救済しようというわけですが、ちょっとご都合主義的かなー、と思ってしまうのですけれども。
最近ではあまり全文を読み返すことをしていないので、さがせばもっとあるかもしれません。都合よく相手が勝手に自殺する場合、止めようとしないのは確かですが。  これでルパンを嫌いになる人がいなければいいのですが……。うーん。やっぱりルパンファンを広げるためには逆効果?まあしかし、真実のその人を受け止めてこそ、愛も本物になるのです。
日本への影響 翻訳史 原題・邦題 6つの罪 ライバル達 推理法 プロフィール
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