百怪図譜見聞録
ずいぶんサボってたお陰で、話題が古くなっちゃっているんですが、 さる9月18日から24日、銀座で開かれた京極夏彦リトグラフ展にて、
ギャラリーの重役らしき方からお聞きしたことなどを少しご紹介させていただきます。
京極氏が作成したのは原画のみ。 リトグラフというのは版画の一種ですが、 版画の部分は世界有数という刷り師の方にお願いしているそうです。
だから、原画の作者といえども版画をただで手に入れることはできないんだそうです。 実際京極氏自身が何点も御購入されたとのコト。
伺ったお話の中では、これが一番意外でした。
宮部みゆきさんの新築祝いに『火車』を送ろうかとおっしゃっていたと教えてくれました。 原画はオイルパステルで描かれたもの。
既に頭の中にあるものを、ホンの短時間でさあっと書き上げるそうです。 朝日グラフのインタビューでは、小説も30分から数時間で作り上げて、
後はそれを再現していくだけだとか。絵でも小説でも作り方はやはり似るのですね。
リトグラフというのは、多くても200部くらい刷ると、版がつぶれてしまうんだそうです。 今回は50部(30だったかも?)のみ刷って、版を割ってしまうということです。
しかもリトグラフは、版を作った時点で原画も残らなくなってしまうそうなんですね。
京極夏彦の版画展という試みは今回が初めてですし、 手に入れた方は本当に貴重、ということでしょうか。 展覧会には京極氏自ら顔を出され、親しい作家さんもたくさん訪れたとのコト。しかし、私が行った日はいらっしゃらなかったようで残念至極。
画廊の方の口ぶりでは、平日は大体来ていたようなのですが。 直接会えた方も居るんでしょうね。羨ましいな。
今回準備期間が短かったとかで、開催時期も1週間と短めだったのですが、 遠くは沖縄からもファンが訪れ、最終日前日の時点で、1、2点の作品が完売となる盛況振りでした。
人気の高かった作品は、『猫又』と『陰摩羅鬼』『姑獲鳥』など。 ただし、通の妖怪好きには『刑部狸』『泥田坊』『わいら』(『うわん』だったかも)などが人気があったそうです。京極氏の大きな写真パネルも飾ってあって、「あのパネルが欲しい」という方も多いのでは?」とお聴きしたところ、
やはり結構いらっしゃったとか。 斯くいう私も、ええ、そのうちの一人です。
猫又は実際可愛かったです。一番リビングにも飾りやすそうで。個人的には、『文車妖妃』が好きでした。妖しげな女の顔が印象的で良かったのです。
画廊内には、京極原画のリトグラフのほか、『怪』ドラマ関係の写真パネルや、 『百怪図譜』展打ち合わせ風景の写真、 それに京極堂シリーズ文庫版の表紙となった人形の現物も展示されていました。人形の肌もなまめかしいのですが、小石などはとても作り物に見えないほどで、感心することしきり。
許されるものならべたべたと触って見たくなりました。
今回出品された作品が画集として出されたりはしないのですか、とお聴きしたところ、そういう話もあるとのコト。 まあ2年は先になるようですが。
京極ネットコミュニティさんのホームページによれば、百怪図譜展のサイトで作品が見られるとか。 まだご覧になってない方は一度ご覧になってはいかがでしょう。
新書版の裏表紙見返しなどで写真をごらんになった方も多いだろう京極氏の書斎、と云うかあの本棚ですが、 京極氏の「漂着したイメージ」というリクエストに合わせて特注されたものだとか。
打ち合わせ風景の写真パネルにも映ってたのですが、普段目にするよりも大きく鮮明な写真に、 蔵書のチェックを入れていたのも私だけではなかったようです。
お話しした画廊の方は、とにかく気さくに色んな事を教えてくださいました。 上品な紳士で、決して営業臭くない話しぶりが嬉しかったです。
画廊も銀座にあるとそれだけで敷居が高い気がしてしまうのですが、 京極展以外でもあそこならまた行ってみたいと思わせてくれました。大感謝です。