又市解体新書

「『なあにだぼ鯊遊びと割り切りゃあ、ド多福も唐茄子も一緒だと、そう高を括ったんで御座居やすよ。殿様の前じゃ言い難いが、色の道なんてエものはそれぞれで。犬でも鶏でもいいものが、相手はどうあれ立派な人間様。しかも女にゃ違エねえ―――』」

(『嗤う伊右衛門』、中央公論新社、P.117)

「『(与力は)殺して、腐らせて、それでも嫌うことが出来ず、嫌いになるまで待って、待って、それでも嫌えずに怖うなって捨てた』(玉泉坊台詞)(中略)
『 奴はね―――先生、あの与力の―――』
 あいつの気持ちが少しだけ解りやすよと結んで、御行の又市はりんと鈴を鳴らした。」

(『巷説百物語』「帷子辻」、角川書店、P.508〜511)

「『あの野郎は夜鷹だの蹴転だのにやけに人気がありやがるからな。大方谷中か蒟蒻島辺りの店の二階にでも上がり込んで酒でも食らってるんじゃねエか』(中略)
『その又市様な、あの野郎は面倒見はいいからよ。女郎にゃてエした人気よ。口先で世の中渡りやがってよ。女ども、助かった救われたって生き仏みてェに言いやがる。瞞して売り飛ばしてるだけだと思うんだがなァ。得な野郎だぜ』(長屋住人台詞)」

(「怪 第八号」「続巷説百物語・飛縁魔」、角川書店、P.208〜209)

「『オヤ。誘うても誘うても些細ともその気になりやせぬと思うたら―――何じゃ又さんこっちのほうかえ』(中略)
『奴にゃそっちの毛はねェ』」

(「怪 第八号」「続巷説百物語・飛縁魔」、角川書店、P.210〜211)

・目を細める

・行者包みを解いて、手拭い代わりに頭を拭う

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