又市 解体新書

生い立ち

武州三多摩の水飲み百姓の息子として生まれる。
2歳のとき、母親が男(小間物屋か飴屋)と駆け落ち。
父親は酒乱のろくでなしだったが、8歳の時死に別れる。
強請り・詐欺を得意とする小股潜りとして江戸に名を馳せ、上方でも仕事をしていた。
『嗤う伊右衛門』より2年前、行き倒れの御行の装束をかっぱらい、偽行者として御行の又市を名乗る。
『嗤う伊右衛門』直前、母・唐針売りのお槇との邂逅。しかしお槇は又市によって夢を覚まされ、
又市を息子と知らぬまま首吊り自殺してしまう。
この後、一旦生家に帰っている。そのときの又市は自殺でもしかねない様子だったという。
何年後かは不明だが、お銀らと組んで、江戸に限らず広く「妖怪使い」で揉め事の収拾を生業とするようになる。
『嗤う伊右衛門』当時は下谷金杉の長屋住まい。『巷説百物語』当時は麹町の念仏長屋に住んでいる。

『嗤う伊右衛門』p.38-39
「『自慢じゃねえがこの俺もな―――(中略)武州の水飲みの子だ。親父は、田は枯らす悪さはするの酒乱、稀代のろくでなしで、俺が八つのときにおっ死んだ。俺はそれから天涯孤独だ。誰の世話にもなっちゃいねェ
(中略)
(母親は)誓って覚えがねエものよ。風の噂に聞いた切りだが、俺がまだ、二つばっかりの時分にな、手に手を取って男に逃げたという落ちサ。駆け落ちのお相手は小間物屋だか飴屋だかってえ話だ。顔も知らねえ匂いも知らねえ。乳を嘗った覚えもねえ。なら居ねえのとおンなじだ。』」

成立

又市の名前は、『四谷雑談』では、岩と伊右衛門を娶わせた詐欺師として、ほんの数行登場する。
『東海道四谷怪談』では長屋の大家として登場する。
『嗤う伊右衛門』製作時に、京極夏彦はこの詐欺師又市から、御行の又市を生み出した。
『巷説百物語』で又市とともに活躍する小悪党たちもまた、黄表紙や実録小説の端役や昔話の主人公が元になっている。

京極堂シリーズ 巷説百物語 京極夏彦 どすこい 多々良 ルーガルー 明けの破鏡    
             
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