神の探求について

榎木津は「探偵とは神にも等しいもの」といい、また「僕も神だ」という。 彼の頭の中では、「僕=神」という図式はあくまで 「探偵=神」という図式が先にあって出来たもののように思える。 最近の作品では、探偵とは唯一無二の存在=僕というような図式ができているようにも思えるが、 当初は探偵にはそうそうなれるものではない、という程度にしか言っていなかったのではなかったか。 そもそも何で「探偵=神」という公式が出来たのか。 榎木津の職業として探偵を進めたのは京極堂だから、 その際適当なことを言って榎木津を煽てたのかも知れない。

それはちょっと脇においておくとして、 榎木津にもっとも相応しい神とはどんな神だろうか。

ヤーヴェ(エホヴァ)

言わずと知れたキリスト教の神。 「神は唯一のものだと習わなかったのかね」なんて言っているから、 彼がこれを念頭に置いていることはあるだろう。また良くも悪くも、 現在の日本において神といって最初に思い浮かべるのは キリスト教の神であることがほとんどだろう。  しかし、鹿爪らしく、すぐに報復的措置に出るこの神は どうも榎木津には相応しくないように思われる。 キリストの説いた博愛精神も榎木津らしくはない。

第六天魔

 これはヒンドゥー教で言うところのシヴァ神だそうだ。 『鉄鼠の檻』で彼自身が名乗ったのがこの神だ。  別名、天子魔、他化自在天。 織田信長もこの神を自称したそうだ。 京極堂から聞き知ったのでなければ、 榎木津は信長がらみでこの名前を知っていたのだろう。  破壊と再生の神。これは確かに榎木津らしい。 特に破壊というところが。しかしシヴァはその破壊の性格ゆえに、 悪神というイメージも付き纏う。 なんと英訳するとずばりサタンになってしまうんだそうだ。 それはちょっと具合が悪い。 榎木津いわく悪魔は京極堂だそうだから(絡新婦より)。

バッカス

ローマ神話の酒と劇と豊穣の神である。 ギリシャ神話のデュオニソスと同一視される。 森の中で奔放な巫女バッカイたちと饗宴を演ずる、 ゼウスと人間の女の間に生まれた子供。 デュオニソスの尖った耳に執着していたのはニーチェだっただろうか?  この神に突いては突つきだすと切りがない。 キリストの原型、最も原始的な救世主、 ナルキッソスに変身したのも彼であったなどという。  この放逸でセックス・アピールたっぷりの神様、 これほど榎木津に相応しい神は居ないのではなかろうか?
 さて、本来ならここで日本の神にもご登場願いたいとこなのだが、 不勉強のためちょっとそれらしいのが思いつかない。 なんとなく、榎木津大明神とかいうと語呂がいいのだけれども。  まあ個人的には榎神様として相応しいのは酒神バッカス! ということで結論とさせていただきたい。
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