私は小野不由美のファンです。
『どすこい(仮)』を最初に読んだとき、読んだことがある原作は『屍鬼』だけでした。
……え?怒ったかって?
……そうですねぇ。落ちがちょっとあまりにも下品ですよねえ。ああいう下ネタは嫌いです。
まあでも、小野不由美の読者層でも、悪霊シリーズを読んでたかどうかでショックの度合いは違うんじゃあないでしょうか。
静珍って、たしかに静信とは似ても似つかないわけだけれど、悪霊シリーズの「坊さん」はコメディキャラクターだったし、ほかのキャラと掛け合い漫才もやってたから、イメージをそちらにスライドさせてしまうことで静信のイメージを守ることができる。
むしろ私としては、せっかく静信が小説家という側面をもっているんだから、その設定を活かしてほしかったくらいですね。

『脂鬼』は『どすこい(仮)』の中でも一番パロディらしい作品ですよね。
曲がりなりにも原作をパロッた登場人物がメインで活躍している。
『すべてはFになる』の犀川や萌絵のパクリキャラがまったく出てこない『すべてはデブになる』などとはちょっと違う。
京極夏彦が小野不由美に対して一番怖がっているようなポーズをとるのもそのせいなんでしょうか?
ちょっと、冒頭の断り書きを羅列してみましょう。

『四十七人の力士』「池宮彰一郎先生の作品とは一切因果関係がありません。」
『パラサイト・デブ』「馬鹿タイトルを笑って許してくれた瀬名秀明氏に心から感謝致します。」
『すべてがデブになる』「馬鹿タイトルを大目に見ていただいた森博嗣氏に謹んでお礼を申し上げます。」
『土俵・でぶせん』「鈴木光司先生の傑作とは関係ありません。関係ありませんが、一応謝っておきます。―――ごめんなさい。」
『脂鬼』「小野不由美先生の大傑作とは何ひとつ関係ありません。小野不由美先生および小野不由美ファンの皆様におかれましては、何卒寛大なお心を以てご容赦戴きたく、伏して願い上げ奉ります。」
『理油(意味不明)』「宮部みゆき先生の作品とは無関係です。見逃してください。」
『ウロボロスの基礎代謝』「竹本健治先生の作品と無関係とは申しませんがね。」

いっそ何かの皮肉かと思えるほど、小野不由美に対してへりくだっています。
文庫本の後書きなんか読む限りでは、小野不由美がそんなに怖い人だとは思えないのですが、実は文壇のうるさ型だったりなんかしちゃうんでしょうか?
しかも、小野不由美への恐縮振りというのは、次の『理油(意味不明)』作中まで続いてしまうんですね。
ここではからずも京極夏彦が悪霊シリーズを知っていることもはっきり分かって、以前から京極堂VSナルの対決を夢見ている私にとっては非常に嬉しいことだったのですが……。
ああ、小野不由美と京極夏彦の対談ってないんでしょうか……。

ところで上の断り書き。京極夏彦のお茶目さがとても好きです。特に『ウロボロス……』のそれの開き直りようにはくらくらしちゃいます。京極夏彦の作品は前から好きでしたが、京極夏彦本人にはこれで惚れてしまいました。

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